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「あちらのお客様からです」
何よそれ。今どきそれはタブーだわ。マスターったら。今日に限ってなぜ断らなかったのかしら。呆れて苦笑いしながら、そのあちらとやらを見やると……はあ?
ちょっと待ってよ。何よこれ。人じゃないし。宇宙人よ、宇宙人。いわゆるグレイってやつかしら? クラクラしてきた。さすがに飲みすぎたんだわ。驚きすぎて雰囲気台無しの顔になっちゃったじゃない。これまであたしがまとってたアンニュイ、返してよ。
っていうか、ちょっと待って。どうして周りは普通に受け入れてるのよ。溶け込んじゃってるじゃない。馴染んじゃってるじゃないの。マスター。何なのこれは。
ああ。わかったわ。さては例のあの番組ね? どこかに隠しカメラが仕込んであるんだわ。どこかしら? ──変ね。見当たらないわ。
そうだ。背中のチャック。──ええー。ちょっとお。無いんですけどー。そうよね。着ぐるみにしては小さすぎるわ。目の錯覚──これも違うって言うの? ってことは、あんたは本物の……
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