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ためらっている間に味方が全員殺されてしまった。
1人の騎士がこちらを向く。騎士の服には大量の返り血がついていてもはや血がついていないところの方が少ない。そして顔には顔全体を覆いかぶさる仮面を付けていた。
「あ、ああ…あぁ…」
逃げなければ!!!
体をひるがえし全身全霊で走り出す。これでやっと冒頭に戻ることができた。
「アイツが…噂の…ブラッディ・リードか…!」
ブラッディ・リード、彼の通り名であり今となっては彼の名を知らない人はいない。
数年前突然戦場に現れ、劣勢であったハングランド国が一気に優勢になり最終的に勝利まで導いた英雄となっている。だが敵国のダジリア国にとっては新たな脅威となった。
今闇雲に走っている彼はそんなダジリア国の一介の騎士なのである。
ふと、後ろから迫ってくる気配が消えた。
「あ、あれ?諦めたのか?」
命拾いしたと城に報告に行こうとしたその時
グサッ
前から回り込まれてたことに気づいた時にはもう遅かった。
「お兄ちゃんおかえり〜!」
「ただいま。ちゃんといい子にしてたか?」
「うん!」
ここはハングランド国の山の中にある村。
そこにはある兄弟がいて、兄はリード、弟はカイトといった。
ここの村は特に山奥というわけでもないが周りが木々に囲まれている中たまたまぽっかり空いていた地を村にしたところなので道を知らないと山で迷うことになる。
逆に言えば部外者はほぼ近寄らないので、世で噂されているような有名人が隠れて暮らすにはもってこいの場所であった。
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