初恋

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初恋

屋上から見た空は 青く澄んでいて 手を伸ばせば どこまでも吸い込まれそうだった 先客の彼女はくるくると回りながら 自由に踊っていた バレエでもない ブレイクダンスでもない ただただ 思いつくまま きっと妖精か何かだと思った 僕と目が合うと 妖精は一瞬固まり 慌てて僕の横を走り抜けていった 毒気を抜かれた ポケットに隠していた煙草を取り出し咥えてみたけど さっきの余韻に浸りたくてそっと箱に戻す あのコ 何組かな またここに来たら会えるだろうかと 真似して僕も空を舞う
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