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俺たちって・・・・・
仕事が終わってあいつと待ち合わせをして食事に行った。
まさかこんなことをする仲になるとは思ってもいなかった、高校の時は絶対あいつに触れないように気を付けていた、触れる事で自分の気持ちがばれてしまうのと、気持ちを抑えられなくなるんじゃないかという心配があった。
なるべく側にはいたい・・・・・でも触れない程度の距離を常に保つようにしていた。
気を使いすぎて家に帰るとぐったり疲れた自分がいた、そんな話をあいつにしたら全く気が付かなかったと言われてなんだかその頃の自分が可哀想に思えた。
純だったのか幼かったのかわからないが、余計な事ばかり考えていたのかもしれない。
あいつは俺の事が好きだったと告白したが特に俺と同じゲイではなく、女も男もいけるらしい・・・・・ただどちらかと言うと男が良くて俺に似た男限定だったとか・・・・・俺が喜ぶようなこと言いやがって。
俺の事が好きならそう言ってくれれば俺だって9年もこんな思いしなくてよかったのに・・・・・・俺の無駄な時間を返しやがれ。
とはっても本当の被害者はあいつで、何もわからないままこの6年を過ごしてきたわけで、時間を返せと言いたいのはあいつかもしれない。
とにかく俺たちは二人とも相手の事を何も知らなかったという結論に達した。
食事をしながら酒を飲む、これまでのお互いの想いと何をしてどう暮らしていたかを話す、大学を卒業して仕事を始めて2年、もうあの頃とは違う俺達・・・・・・恋人はいなくてもそれなりに適当な相手を見つけて性を満足させていた現実・・・・・俺は気になっていたことを聞いてみた。
「そう言えばあの時ホテルに来ていた女装男ってだれ?」
「誰って聞かれても・・・・・知らん。あの晩向こうから話しかけてきて、女と付き合う気はないって言ったら、男だって言われて面白いと思って、ホテルへ行った。」
「で、どうだった?」
「どうって・・・・・別に」
「女を抱く気持ちで相手したんじゃねーの」
「見た目だけが女ってだけで中身は男だし、特に・・・・・」
「お前が男を抱けるって信じられないんだけど」
「それもお前のせいだけどな」
「なんで?俺と何の関係があるんだ」
「俺はお前の事が好きで、でもお前の気持ちが分からないから我慢してたのに、急に消えやがって・・・・・俺の気持ちはほったらかしにされたまま、他の男で穴埋めしてたんだよ」
「おい、穴埋めって・・・・・俺とやりたかった?」
「あのな、俺は純粋にお前が好きだったんだ・・・・・あの頃気が付いてもいいと思うけど、お前はほんと鈍感だよな」
「どっちがだよ、鈍感はお前も同じだろ」
「お前さ、俺の事抱ける?」
「どうゆう意味だ・・・・・抱けるかって?」
「そのままだけど・・・・・俺達お互い好きなんだよな」
「好きだけど・・・・・抱けるかって言われると・・・・・・照れるな、今更って気もするし・・・・・・抱くって行為がなんだかなぁ~~」
「なに純情なふりしてんだ」
「そう言うなって」
「俺はこのままでもいいと思ってる、別にsexしたいわけじゃ・・・・」
「好きなら触りたいとか、キスしたいとか思うんじゃねーの?」
「そりゃ、そうだけど・・・・・・俺ってさ、これまでキスだけはしてないんだよな誰とも・・・・・身体の関係はもってもキスはしなかった。嫌だったんだ、キスだけは・・・・・」
「へー不思議だな、俺も同じ・・・・・・キスは嫌だった、あれってなんでだろ」
「キスってやっぱり好きな奴とじゃないとしたくないって事じゃねーの?俺は多分そうだったとおもう」
「好きな奴か・・・・・・お前とならできるってことか?」
「たぶん・・・・・・してみる?」
「おまえさ・・・・・キスってもっといい雰囲気になって自然とするもんだろ、してみるかって言ってするもんじゃねーし」
「おまえって意外と・・・・・フフ」
「アァーお前ってつくづく嫌な奴」
食事が終わって2時間近くもこんな戯言を言い合って、それが楽しくて離れられない・・・・・・本当に俺はこいつが好きなんだと改めて思った。
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