俺の秘密

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俺の秘密

高校を卒業すると同時に俺は逃げるように留学をした、もう二度と帰らない覚悟とあいつのことを忘れることを心に決めて。 中学の時に仲良くなってからずっと俺はお前と一緒にいた、クラスでも部活でも通学も・・・・・同じ時間を過ごすのが当たり前だと思っていた。 それはただ家が近くて仲がいいと言う理由からだった。 週末はお互いの家に泊まり、夏休みや冬休みには家族旅行にも行った、クリスマスも誕生日も一緒にケーキを食べてお祝いをした。 当然のようにどちらもそれが日常だった。 高校生になって女子から告白されて付き合った時、俺はどうしても好きだと言う気持にならなかった。 いい人だとか可愛いとかは思うし一緒に居るのは嫌じゃない、映画を見たり買い物をしたり手もつないでみたり・・・・・それでもそれ以上の事をする気にならなかった。 そのせいで結局すぐに別れてしまう、その繰り返しだった。 そして俺は気がついた、女子といてもときめかない自分があいつといると胸が苦しくなることを・・・・・そういえば女子より同級生や先輩たちといる方がずっと楽しかった、なかでもあいつと一緒の時が一番楽しいと思っていた。 俺は自分がゲイだと気が付いた、所謂(いわゆる)マイノリティーというやつだ、セクシャルマイノリティー。 家族にも勿論あいつにも誰にも言えない秘密を持ってしまった。 言えないことの苦しみ、ばれないようにする精神的なストレス。 男が好きだと知られたくなくて、それを隠すために女子と付き合った、好きだと告白されれば誰とでも付き合った。 別れたらすぐにまた次の女子と付き合う・・・・・・おかげで俺は女好きの最低野郎と言われた。 あいつも俺と同様女子にはもてて、次から次に新しい彼女ができては付き合い、別れては付き合うを繰り返している・・・・・・俺のはゲイだとばれないためのカムフラージュだがあいつのはマジの女好きだと思った。 そんな奴を俺はずっと好きだった・・・・・・高校3年間自分の気持ちとゲイだという事を気づかれないように必死で隠して仲のいい友達の振りを続けた。 高校最後のクリスマス俺は自分の気持ちを込めてあいつに最初で最後のプレゼントをした・・・・・手作りのブレスレット・・・・・・内緒で同じものを作って自分の腕にも付けた。 プレゼントを渡したときあいつは嬉しそうに直ぐに腕に付けてくれた、嬉しかった。 自分の腕にも同じものが付いてるなんてあいつは思ってもいないだろう・・・・・そしてあの後すぐにあいつの前から姿を消した。 両親にも担任にも行き先は口止めをした。 俺の唯一の気持ちの証のようにブレスレットはあれからずっと着けたままだ。 留学していろんな人と付き合ってみた、男と付き合う事にさほど抵抗を感じない国で何人かの男たちと付き合ってみたがやはり心の中にあいつは居続けた。 それでも帰る気はなかったし一生このままこの場所にいるつもりだった、それが突然・・・・・・帰国することになった。 理由は単純に親の都合って奴で一人息子の俺には帰る帰らないの選択権はない。 親父の余命が残り少ないと言われたとき、今まで我儘を通してきたことを少なからず反省して生きているうちに喜ばせたいと殊勝な考えがよぎった。 6年の海外生活を終えて帰国した・・・・・・家の周辺はあの頃と変わっていない、あいつはどうしているのだろう? 今もあの家にいるのか? もし逢うことがあったら・・・・・・普通に話せるか自身がなかった、今でも俺は・・・・・あの頃と同じ気持ちのままあのブレスレットを着け続けている。
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