好きなVtuber…

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好きなVtuber…

さて前回長々語ったが、そんなのものあくまでも前置きであり肝心なのは「推し」についてだ。 すなわち僕は本当に「推し」のことが好きなのかどうか、だ。 名前を出すと変な面倒事に巻き込まれた時に嫌なので出さないが、好きなVtuber2人のことをKAとYMと呼称する。 KAはとうの昔に「卒業」し、一方のYMは半年後「卒業」すると発表した、件のVtuberである。 KAに関しては僕をVtuberどころかYouTubeにハマるきっかけになってくれた人物だ。元々配信ではなく動画勢だったこともあり、卒業の衝撃は少なかったし逆に今でも胸を張って好きであり、推しだと言える。そこに卒業など関係ない。 で、本題。YMの方だ。彼女と会ったのは4年前。当時、僕はKAを知ったばかりでYouTubeの虜になっていた。 少しばかり厳しい家庭環境であったこともありニコニコはもちろんYouTubeに触れてこなかった僕にとってはあまりにも新鮮であり、その中でVtuberという存在は一際輝いて見えた。 YouTubeのシステムすらあまり理解仕切れてない中で生放送にはたどり着けないながらも有名所の動画やアーカイブを見漁っていた僕だが、まとめサイトを見ていた時、ある広告に目が留まった。 それはクラウドファンディングの広告で、個人Vが3Dになるためのものだった。 狭い世間しか見ていなかった僕はその時初めて個人勢を知った。 見た目がかわいかったのと色合いが好みだったこともあり、興味が湧いた僕はYouTube、Twitterで検索する。Vsingerを名乗る彼女は確か当時登録者3000人ほど。今更思うがこれは当時の個人勢にしては結構登録者が多い方だと思う。そこまで詳しいわけではないが。 ともかく当時の僕からしたら個人でやっているVというのもわからなかったし雑談配信でコメント一つ一つと雑談するのは他と全く新しい物を感じた。 さてそう思えばその世界について知りたくなる。同じサイトでクラウドファンディングをしているVtuberを検索した他、関連で出てきたVtuberに関してもその配信や動画を見てみた。そして最終的にYMに戻ってくる。 彼女のTwitterには今週の予定が書かれており、週末にdiscodeのファンサーバーでオンライン飲み会をするらしい。 ……オンライン飲み会。 当時はコロナ前(たぶん直前だったように思うが記憶違いかも。)だったのもあり、対面の飲み会すらろくに行ったことの無い僕はdiscodeに登録してファンサーバーを検索し適当に挨拶をして入り込んだ。ここまで半日。凄い行動力。 週の中頃にマシュマロ配信をしていたのでいくつかマシュマロを投げつつ配信を聞き、いよいよ待望のオンライン飲み会。 僕は好きなお酒であるカルーアや杏露酒を用意しつつ参加した。たしか参加は10人?20人? さすがに記憶が怪しいがそれくらい。だがROMも多かったので僕はそこに紛れ込んでいた。 飲み会自体は普通の飲み会。適当な雑談やらこの前の配信、今後の予定などの話。さすがに新参である以上あまり話すことはないがYMを知ったきっかけや直前の配信での話は出来たことを覚えている。 そのうちYM本人が抜けて適当に流れ解散になる飲み会だが抜け時を見失って話していたら午前4時くらいになってたと思う。初対面でよくそこまで居れたな自分。 ともかく配信者、そしてそのファンがここまで距離が近いというのも新鮮だったしファン同士計画して配信者を盛り上げていこうという熱意が好意的だった。 で、ここで最初の話。 なんとこの時点でまだ僕はYMのチャンネルを登録していない。それは「推し」として好きだと言えるか、自分で踏ん切りがつかなかったからだ。 彼女は歌が上手い。だが僕は生来の音痴なので正直歌の良し悪しがそこまで区別できない。 顔がいい。それはそう。Vtuberなんてみんなかわいい。 声がいい。上に同じ。強いていえば低めの声なのは高評価。 雑談が面白い。他の配信者を見たことないと言ったら否定できない。 あとは…………、いつまで考えても推す理由がたまたま見つけたから以上のものが出なかった。 本当に好きなのか、そんな自問自答に沈黙しか出来なかった。 だが逆に考える。たまたま見付けた、そこに費やす努力は想像もつかないほど大きいはずだ。 僕のようなVtuberを見始めてちょっと興味がある程度の人間、何百万といることだろう。そんな僕が彼女を見付けられたのは奇跡か? いや違う。努力の成果を奇跡なんて言葉で片付けるのは冒涜に等しい。 情報が氾濫する現代社会においてたった1人の人間を見付けてもらうために必要な努力。 そこまでして伸びたいという執念。 僕はそこを評価した。 だから好きなのだ、と。だから推しなのだ、と。 さて、繰り返し言っているがこれは推しが引退する話だ。わかってる、終わりがいつか来ることなんて。 だが引退するということは伸びる努力を諦めたということだ。 それそのものは別にどうでもいい。彼女には彼女の決断があり、その行動に口出しするわけない。 けれども……好きな理由を失った今、彼女は僕の何なのか。 明確な理由がなくとも推せるだけの期間、僕は推してきた。だから引退発表即推変なんてことはしない。しかし釈然としないモヤモヤが纏わり付くのは防げない。 別に推しに対する文句とかではない。強いて言うならそんな理由しか見付けられなかった過去の自分への文句だ。 卒業まであと半年。 曇天模様に遮られ、光はまだ刺さない。
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