部長の実態2 ~磯谷部長編~

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 実はできる男からの含蓄ある名言を期待し始めていた私は、ガックリと肩を落とす。 「どうして人は人を形容したがるのか。それはきっと、相手を掌握したという安心感を得たいからだ。」  右近さんが突然会話に加わり、名言めいたことを言った。 「誰の言葉ですか?」 部長越しに訊ねると 「俺の言葉。」 と言われて、またガックリと肩を落とした。 「いい言葉だねぇ。」 部長がのんびりと言いながら、両手を後ろについた。ポヨン腹がこれ見よがしにポヨンと突き出る。右近さんがそれをジッと見つめた後、おもむろにポヨポヨと触りだす。 「右近さん!ちょっと、右近さん!?」 驚いて声を掛けるけれど、部長は気にせず腹を触らせたまま海を眺め、右近さんは無言でポヨン腹をドリブルしている。 「ちょっと、2人とも!」 注意しても2人は意に介さず 「これ、背中まで波打ってませんか?」 「やっぱり海風面白いねぇ。」 「どこまで揺れてます?ケツも?」 「あ、あの鳥、一気に高く上がったよ。海風すごいなぁ。」 と全く嚙み合っていない会話を繰り広げる。
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