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「恐れ多いなんて、恐れ多いよ。」
部長があはは、と笑い、右近さんが私の手を振り払って、またポヨポヨし始めた。
「どうしても形容したいなら、部長はポヨだ。」
訳の分からないことを言いながら、右近さんが前髪の隙間から私を見据えるから、私はその隙間から睨みつける。
「違います。絶対にポヨではありません。」
「触りたいくせに。」
「うっ・・・。」
目の前で高速ポヨポヨをされて揺れているお腹に、私の目は釘付けになってしまう。
「三、矢、さん。」
磯谷部長の声が、その振動で揺れている。
「同じ、会社の、同じ、部署、で、働い、てる、のって、実は、すごい、ご、縁、だと、思、う、ん、だ。」
右近さんがさらにドリブルを早め、まるで扇風機の前で話している人のように磯谷部長の声が揺れる。
「う ち の 部 署 は 1 8 人。全 世 界 で 同 じ 部 署 の 仲 間 に な れ た の は、た っ た 1 8 人っ て こ と だ よ?す ご い ご 縁 だ と 思 わ な い?」
明らかに右近さんが面白がっていて、私はそのドリブルを止めたくなるけれど、磯谷部長も可笑しそうにプッと笑ったから、ご満悦なのか?と止めるのを一旦諦めた。
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