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~memory No.2 実験~
道中、人間の体やサンプルを手に入れる事が出来き、なんとか実験出来そうだ。
手帳を閉じて、白銀の元へ向かう。
「レシピは、見つかった?」
「うん!これで作れるかも!」
白銀は、ビンの蓋を開けて薬をその中に入れた。
「後は……血が必要みたいだね」
「僕らの血じゃ妖怪になっちゃうよ」
僕と白銀は、しばらく悩んだ。
いや、ここでやめるたら…もう実験出来なくなるかもしれない。
「じゃあ、やろっか」
「うん…」
一か八か、僕と白銀は、指を切って血を一滴垂らした。
しかし何も変化は無かった。
ー数時間後
「大変だぁ!」
「ど、どうしたの!?」
白銀が騒いでいるのを聞き付けて走った。
「つ、ついに…!」
まさかとは思ったけど、白銀の実験が成功したらしいのだ。
てか、これってヤバい事なんじゃ…?
「ついに…成功…したの?」
「う、うん…急に白い光が現れて、気づいたらいたんだ…」
「人間…が?」
「うん、確かに人間だった」
寄せ集めの部位だけで作ったはずなのに、何で成功するんだろ。
まぁ、これも銀さんのおかげなんだろうけど。
それもそうと、一体どんな人間が出来たのか。
実験らしくなってきたので、僕も銀さんに付いていった。
「えっとね…名前は覚えていないらしい」
「あぁ、会話は出来たんだ」
「そ、会話はなんとか…」
会話は、なんとかってことは、あまり情報は得られないって事?
まぁ、会ってみないと分からないからな。
「じゃあ、この部屋にいるんだけど…」
「どうしたの?入っていいんでしょ?」
「いやぁ…それがさ…実験は、成功したんだけど…」
「出来たのは、人間の子供で…」
【出来たのは人間の子供で】
僕らが考えていたのは、大きい人間だった。
つまり、子供を作ってしまったという事になるのだ。
「え、そ、それって…」
「情報も何も得られないと思う…その子が覚えていればね」
「まぁ、入ってよ」
「う、うん…」
僕は、銀さんに言われて恐る恐る部屋に入った。
「……」
そこには、誰もいなかった。
僕は銀さんに呆れた顔を向けた。
「い、いや!いるよ?」
「絶対嘘だぁ…」
「えっと…名前…無いから…」
「ほ、ほら!怖くないよ!僕たちは悪い人じゃないから!」
「それ言って信じる人がいるか」
と、軽くツッコミを入れた途端、物陰から、子供がこちらの様子を伺いながら近寄ってきた。
え、これ本物じゃん、どうすんの?って顔を銀さんに向けると、目をそらす白銀。
「……」
「……」
「……」
部屋には、沈黙が続いた。
予想以上に気まずかったのか、白銀が慌てて口を開いた。
「は、初めまして…だよね?」
「君、名前覚えてないって…最初言ってたから…なんて呼べばいいかな…?」
「………わからない…」
と、少年は、一言呟いた。
分からない、つまりAIによって記憶が消去されているのか?
それによっては、原因を考えることも可能だが…。
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