あるバイセクシュアルの女の述懐

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 バイセクシュアルで良かった面をあえて振り返るなら、男性に対する抵抗感は比較的少ないかもしれない。男性とは女性への興味関心という共通点があり、仲間であり同志だと思う。  男性から性的に見られても特に嫌な感じはしない。それは私がどれほど願っても、女性からは与えられることがなかったものだ。性的な対象として見てくれるということ。  女性がしばしば男性を憎み、性的に見られることを否定するものの見方、むしろそれが中心的で主流ではないかと気付いた時はやんわりと驚いた。  混み合った電車内で男性から身体を触られた経験は私にもある。嫌悪する感覚、価値観を想像はできる。私にはただ、もっと重要なものがあっただけだ。  飢えるように渇望して、自嘲気味の笑みが魅力的なひとはもしかしたら女性より男性に多いかもしれない。私は男性にもよく恋をした。男性経験が数人あることも、女性とはなかったことも、全て縁だったのだと思う。
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