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フラッシュバック、不登校、時々カップ麺。
暗く、埃っぽい。カビの臭いなのか、食べかけのカップ麺の匂いなのか分からない空気が部屋を充満していた。
そんなゴミ部屋の中央に1人、如何にも下落者といった風体の男子が寝転がっている。
後頭部を摩り自分がベッドから転げ落ちた事を察した彼─名前を月嶋千夜という─は眠気眼で時計を確認した。実際それは無意味な事であったが、ある種の"古い癖"として彼は「9:37」というデジタル表示を確認することが出来た。そして暫く、これまた非常に無意味なことを思い出して、僅かな情動を忘れる為にまた寝転るのであった。
高校に入ってから2ヶ月と幾日かが経った日、彼の親友は目の前で自殺した。まるで見せ付けるように、まるで美しい作品を展示する芸術家のように。
学校の屋上から飛び降りたはずの千夜の親友神崎真央は、だが地面に飛び散った鮮血と肉塊にはなってはおらず、霧のように消えてしまったのだった。
それが原因なのか最早定かでは無いが、千夜はそれからの日々を惰眠とゲームと読書に費やしていた。千夜と真央以外のクラスメイトたちは、今頃3年生として輝かしい学校生活を送っていることであろう。
「…はぁ。」
だがそれは、やはり至極どうでも良く、無意味なことだった。
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