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 1週間後、中庭で久しぶりにちんちくりんを見かけた。泣いていた。 「どうかした?」  俺は思わず声をかけた。  驚いた顔をして涙を拭きながらちんちくりんは言った。 「懐かしい雲の形だったから…」 「…は?」 「あぁ、ははッ。ゴメン。行くね…」  そう言って校舎に走り去った。  俺は何となくその雲を見た。 「…あぁ、クジラみてぇだな」  くだらねぇとかバカバカしいとか…そんな風には思わなかった。
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