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 G.W、新しい服につられて母親とアウトレットに来た。  時間を決めて別行動し、いくつかの店を見て回った。  人がすごくてうんざりし始めた頃、人混みが左右に開きモーセが現れた。  よく見たらそれは、不恰好な傾き方で幼児を肩車したちんちくりんだった。 「ちょ‼︎何…」  ちんちくりんと幼児を合わせても俺より低い。 「あ、中道くん…」  ヨタヨタとふらつきながら近づいて来る。 「何?弟?」 「違う。迷子なの…」 「は?」 「肩車してって言うから」  ちんちくりんの頭にしがみついている男児の顔に涙の跡がある。 「すっ転んで大怪我させそうだな…」  俺はちんちくりんの後ろに回り男児を抱き上げた。  そしてそのまま自分の肩に乗せた。 「おー‼︎高ーい‼︎」 「え⁈」 「親、探すの?迷子センター連れてくの?」 「たろくん、ママ見える?」 「んー?」  俺は"たろくん"のためにゆっくり一周まわった。 「いたか?」 「んー…いなーい」 「元いた場所に戻ってみるか?」 「あ、うん。そうだね」  すでに人で埋め尽くされてしまった〈モーセが開いて来た道〉を戻って行く。 「ありがとう。助かった…」 「しっかし、すげぇ肩車だったわ」  思い出して笑った。 「親と逸れて、すごく不安だったと思う…」 「優しいんだな…」 「それを言うなら中道くんだって…」  そう言って、ちんちくりんはたろくんを優しい目で見つめた。  元の場所に戻り切る前に無事に母親に会えた。  たろくんを下に降ろすと、泣きながら母親に駆け寄って行った。 「どうした?」  ちんちくりんが泣いていた。 「あぁ、ははッ。会えて良かったと思って。ゴメン」  俺は黙って、たろくんにぐちゃぐちゃにされた髪を整えてやった。 「ホント、助かった。ありがとう‼︎」  涙を拭いてちんちくりんが去って行った。  俺は小さな後ろ姿を見えなくなるまでずっと見ていた。
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