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「そうか、ありがとう。
先に風呂に行ってきてもいいか?」
「もちろん! ごはんの用意してますねっ!」
ここまでの流れも想定通り、基本的に犬彦さんはお仕事から帰ってきたらまずお風呂に入るのがルーティーンだ。
早くスーツを脱いでシャワーを浴びてきれいになって、部屋着になってゴロゴロしたいのである。
一方、俺のほうは寝る直前にお風呂に入るパターンが多いので、マジここまでの流れはいつもの平穏な我が家ってカンジ。
犬彦さんはいったん自分の部屋へ入っていったので、俺はそのままキッチンへ戻り、晩ごはんの準備を開始する。
テーブルへ食器やおかずを並べて、あたためた方がおいしい料理もスタンバイをはじめるのだ。
いつも犬彦さんはお風呂から出るのがはやい、今から準備をしちゃってちょうどいいくらいなんだよね。
やがてお風呂からあがってきた犬彦さんは髪をタオルでふきながらリビングへやってきて、俺といっしょにテーブルへ着き、今夜の晩ごはんタイムがスタートする。
今夜もいつものように犬彦さんは、おいしいありがとう江蓮、って何度も言いながらごはんを食べてくれる。
俺も、我ながらウマーと思いながらごはんをむしゃむしゃ食べた。
鮭のホイル焼きマジうまい、バターにしょうゆをちょっと足して食べると、マジ白米いくらでも食べられるわ。
そんなふうに、いつも通りの楽しい晩ごはんの団欒タイムは進んでいった。
犬彦さんも機嫌良さそうに缶ビールを飲んでいる。
「ところで江蓮」
「はい? なんでふか?」
さっきテレビで見たおもしろいシーンについて犬彦さんに話しながら、ほかほかの白米を口の中にかきこんでいると、安定のポーカーフェイスのなかに少し微笑みを浮かべたような感じの表情の犬彦さんが、突然こんなことを言ってきた。
「お前、何か俺に話したいことがあるんじゃないか?」
「えっ、」
な、な、な、なんで…!?
まだなんにも言ってないのに…ここまではいつも通り、何の匂わせもしてないはずなのに…なんでわかったの!? 犬彦さんエスパー説、爆誕…!
「何か欲しいものがあるのか? お願い事があるんだろう?
ゲーム機か? 新しいiPhoneか? それともどこかに行きたいのか?」
お願い事があることもバレている…なぜっ!?
犬彦さん、こえぇ…、これが魔王ジョブの固定スキルなのか…(?)
だがしかし、なんか知らないけどバレている以上、この流れで話しちゃうしかない気がする…!
「えっと、あの、その…」
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