開場

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「ごめんごめん、お待たせ」 カードに手を伸ばしかけたその時、肩を叩かれ振り返る。 相方が顔の前で軽く手を合わせた。 「その花、贈ったやつか?」 「うん。手違いでロビーに来ちゃったみたい。なんか恥ずかしいな。他のと見劣りしちゃう」 「そうか? こういうのって気持ちだろ、キモチ」 「それは、そうなんだけど……」 ふーん、とあまり興味がなさそうに一際大きなスタンドフラワーを一瞥した相方は、物珍しそうに当たりを見回した。 「それにしても、凄い人だな。バレエの発表会ってこんなんだっけ?」 「もう、発表会じゃないってば。これは旗揚げ公演。でも普通の旗揚げ公演ならこんなふうにはならないよ。今回は特別なの」 「なんで? あ、誰か出てきたぞ」 そう言って相方が指さしたと同時に、激しくカメラのフラッシュが焚かれた。
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