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頭に幻覚を与るとはどう言う事ですか」と聞く僕に先生は微笑みを浮かべながら言った。
「有る天才科学者が、自分の意識を人に送信するマシーンを作ったのです。
これは、画期的な事で、平凡な一般人に優秀な知識や思想を転送でき、保存できると言う事です。もし、現在にアイシュタインが生きていたら、その技術を通して、アインシュタインの知識を多くの人に転送し保存できるのです。
凄いとは思いませんか?」
と目を輝かせながら語る先生の顔がより美人に見えた。
「確かに凄い事だが、どこまでの知識が転送、保存されるのかは転送する本人も分からないのではありませんか?」
と聞く僕に、
美人先生は、「最近の研究では、必要とされる所を選んで送信出来るようになったとの事です。」と私に言った。
(またもや嘘クセイ)と思ったが、嘘と断定する確証が無いので言うのはやめた。
さらに先生は「そのマシーンを設計した科学者は、
今は故人となりましたが、
設計図は存在し、その後を継いだ科学者がそのマシーンを完成させたのです。」
私は疑問に思い「その、マシーンは人の記憶の転送であって、バーチャルで夢を体験出来るのとは違うと思うのですが?」と、聞くと
美人先生は強い語調で言った。
「多くの人の記憶を保存して置いて、夢を叶えたいという人に、それに合ったその記憶だけを転送するのです。お分かりですか?。
貴方の場合、その女の人を殺めたいと言う仮想体験ですが、実際の殺人者の記憶を元に仮想体験を創作するのです。
貴方の場合は殺人と言う忌わし事ですが、
大金持ちになりたいとか、多くの女性から慕われたいとか、プロ野球選手になってみたいと様々な事を仮想して体験できるのです。」
先生の言う事を、にわかには信じる事は出来なかった。
以前、誰だったか思い出せないが、「お爺さんの記憶を転送され、非常に困った。それも、転送されたのは、くだらない記憶で、お爺さんさえも、どんな記憶を転送したのか分からなかった。」と話していたが、
嘘だろうと思って、いい加減に受け流していた。
此の話は、それに似ている。
天才科学者とは、その男の爺さんだろうか?
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