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小説パート3(6)
その後、先生といろいろ話をしたが、私は結論を出さずに、家に帰った。どうしようか?
只と言うところには惹かれるが、実験と言うところが引っかかる。
もし、その様な記憶が残り、トラウマになったりしたらどうしよう。最悪のケースは自分が殺人鬼になってしまうかも知れない。恐ろしい。絶対にやめるべきだ。
バーチャルとは言え、人を殺める体験は私を変えてしまうかも知れない、と言う結論に達した。
だとしたら、楽しい体験ならばいいのでは無いだろうか?
どうせ夢である。仮想体験だ。
そうだ、僕は子供の頃、ヒーローに憧れた。
ヒーローも沢山いるが、幼稚園の時は、あんぱんマンだった。今になって、あんぱんマンの仮想体験させて下さいと言ったら、先生に笑われてしまう。
それに、頭をかじられたら、痛い。
あのデブ女にも軽蔑されてしまうだろう。
此処は、あんぱんマンを諦めて、スーパーマンにしよう。
スーパーマンなら誰ものヒーローだ。
これに限る。仮にトラウマになっても、良いトラウマだ。
次の日、明るい気持ちで、その4階に有る「夢工房」に出かけた。
インターホンを息を切らしながら押した。
聞き覚えの有る声が聞こえた。と思ったらドアが開いた。
またも聞かれた「ご用件は?」
俺は思った。此のデブはマニアル通りしか喋る事が出来ないのだとマックの店員みたいに。きっと次は「先生をお呼びします」だなと。
予想通り、先生を呼びに行った。
「美人先生にまたも、お会いできるのは光栄です」
まずは、社交辞令。
あちらも負けてはいない、
「こんな素敵な男性に二度もお目にかかり、嬉しいです。
所で結論は出ましたか」
先生もなかなかのもので有る。もしかしたら、キャバ嬢かも知れない。それともクラブのママさんか?
思い切って先生の経歴を聞いてみた。
先生は以前は普通のOLで、今は科学者の助手をしていると言う事であった。
私は助手とも知らずに、先生と呼んでいた事になる。
何故かなら、あのデブ女が最初に「先生を呼んで来ます」と言ったからだ。
バツイチで子供は、驚いた事にあのデブ女だった。 似て無い。
先生は天海祐希似ていて、相当の美人だが、あのデブ女は、名前は知らないが、女芸人に似ている。
そういえば、美男美女の両親から生まれたのに、「こんなの、出来たの」と言われている女がいたな。
こんな事はさて置き、私は、先生に要件を伝えた。
先生に考えてきた事を話すと、一応は同意してくれたが、残念な事に、スーパーマンはいないと言う事であった。
当たり前田のクラッカーである。
スーパーマンなどいる訳が無い。そこを何とかしないと、
夢を叶える事など出来ない。
少し強い口調で、僕は言った。
「実際の体験で無くてもいいから、創作してよ」
と、普段の私の言い方では無い。
その気迫に押されてしまったのか
先生は、両脚を揃えて「分かりました」と言った。
今日はスカートだった。
スカートがあるのであれば、昨日スカートにして欲しかった。
複雑な気持ちに覆われる、僕であった。
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