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~プロローグ~
今からさほど遠くない、未来の日本で。
どこかの研究所が開発していた、何かのウィルスが漏れたか盗まれたかで、ゾンビがそこら中にウヨウヨと出現し始めた。
ゾンビ映画を見慣れていた日本人は、現実のゾンビを目の前にして「まさかあ、はははは」と笑い出したり、「いいメイクだね~! ハロウィンはまだ先だけどさ」などと、逃げ出すどころか無抵抗に食われる者が続出。ウィルスはあっという間に日本全国津々浦々まで広がりまくり、どこもかしこもサバイバル状態に陥った。
と、そんな時。
突然、日本各地をこれまでにない大地震が襲った。
最初は関東、続いて関西……と、日本の主要都市を狙い撃ちしたかのような地震が相次ぎ、ただでさえゾンビ蔓延でサバイバル状態だった日本人は、猛烈なパニックに陥った。
しかし、同時にゾンビたちも地震の影響で数多く死滅……というか、もともと死んでいたから消滅というか、とにかくその数はまがりなりにも減っていったのである。
と、そんな最中に。
地震によって出来た大地の裂け目から、なんと地底人が姿を現した。
地底人は何百年もの間、地底の奥深くでいつか地上に出る日を待ち望んでいたのだ。それは、かつて太古の昔、自分たちを地下に封印した人間たちへ復讐するためでもあった。
……あったのだが、地上は地震であちこちパニック状態、しかも「死んだ人間」までもがウヨウヨしている有様。地底人はゾンビの襲撃を交わしつつ、人間たちを襲って自分たちの生きる場所を地上に確立しようとしていた。
人間たちは、もはや何をどうすれば生き残れるのか、全くわからない状態になりつつあった。
と、そんな大騒ぎの真っ只中に。
突如、宇宙の彼方から空飛ぶ円盤の大群が飛来してきた。
銀河系のはるか遠方にある星から、地球を侵略すべく宇宙人がやって来たのである。
しかしいざ来てみたら、地面はヒビ割れだらけで腐った人間が襲ってくるし、地底に長く住んでたんだかなんだか知らないが目の見えない野生の人種が襲撃してくるしで、地球を侵略するとはいったいどういうことなのかと自問自答したくなる状況だった。
どうにか生き延びていた人々たちはもちろん、ゾンビと地底人と宇宙人が「三つ巴」で殺し合ってくれればいいと願いつつ、地震で壊滅した都市や町で「三つ巴のうちの誰か」から自分たちへの襲撃を恐れ立ち向かうという、非常に難易度の高いミッションに挑むハメになってしまった。
そんな、しっちゃかめっちゃかな地球の、日本のどこかにある「とある地方」で。まったりのんびり、いい塩梅で生き残ろうと考えている者たちがいた……。
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