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ともあれ、ザキはジョーが作った手巻きの葉っぱ煙草を見つけ、「それ、吸えそう?」と聞いてみた。ジョーは自分で巻いたばかりの煙草を見つめ、「たぶん……ね。味は保証しないけど」と自信なさげに答えた。チビチビとかき集めたシケモクだけでは到底足りないので、洞窟の周囲に生えてる中で出来るだけ薄そうな葉っぱを見つけてきて一緒に巻いただけだから、どんな味になるのか見当もつかない。もしかしたら、変なトリップをする可能性もある。
トリップするならトリップするで、それも「アリ」かもな……。
ジョーは無責任にそう考え、ザキに「吸ってみる?」と勧めてみた。ザキは「俺が毒味役かよ」と苦笑いしながら、ガスの残り少ないライターで葉っぱの煙草に火を付けた。
……不味い。この上なく。ザキはもともと健康志向で煙草を吸わず、煙草の味の良さなどわからないのだけど、これが不味いということだけははっきりと言えた。しかし、こんな生活の中の数少ない娯楽と言えるこの葉っぱ煙草を、吸ってみるのも悪くないだろうと思ってはいた。思ってはいたけど、やっぱり不味かった。
「美味しくないよ、やっぱり」
咳き込みながらザキは、煙草をジョーに返した。ジョーも美味しくないだろうなという予想はしていたので、ザキの様子を見てトリップの心配はなさそうだなと安心して、葉っぱ煙草をすぱ~っとふかした。……確かに不味いな、こりゃ。ジョーは顔をしかめながらも、形だけでも「吸える」ことに感謝しなきゃなとも思っていた。ここまで煙草の吸殻を集め続けた、自分をねぎらう意味でも。
葉っぱ煙草は火を付けた方からチリチリと葉っぱが焦げ、巻いた長さはそれだけ短くなっていく。不味いとはいえ、あまり一日にたくさん吸ってしまうのは勿体ない。このへんでやめとくかなと考え、また吸えるように、慎重に火をもみ消した。そして、「う~~ん」と背筋を伸ばし、あらためて洞窟の地面に横になったのだが……なんだか、洞窟の天井に「夜空」が見えた気がした。なんだこりゃ、ここはプラネタリウムか? そう考えたら、天井の星空がゆっくりと回転し始めた。……ヤバい。これ、トリップしてるん、じゃん??
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