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2 宇宙人たち
リマは非常食のウーレムをつまみながら、円盤の操縦席にいるグルを見ていた。……相変わらず真面目な奴だ、グルは。こんな時でも業務は怠らないんだからな。それにしてもこのウーレムは、非常用に持ちがいいのは助かるが、なんとも味気ない食い物だな。もうちょっとこう、味付けにもこだわってほしかったとこだな、ウチの上層部も……。
「リマ、食べかすをこぼさないでよ。変な虫でも入って来たらたまらないわ」
グルは操縦席のレーダーに見入ったまま、振り向きもせずリマに言い放った。……グルのやつ、地球の虫がどうしても好きになれないみたいだからな。特にあのグネグネして毛の生えた生き物、あれを見たとたん絶叫してその場に倒れ込んだくらいだ。それ以来、外に出た後の滅菌処理に加え、船内に虫が入り込んでないかを異常なまでにこだわるようになった。まあそういうところも、モーリは「グルの可愛いところさ」とか言うんだろうけどな。
「どうだい、何か目新しいものは見つかったかい?」
食事のことを注意されたついでに、リマは社交辞令のようにグルに聞いてみた。
「いえ、今日のところは、まだ何も。後は、モーリの連絡待ちね」
先日、リマたちの監視区域にある山岳地帯の森林で、人間らしい生体反応が見つかった。明らかにゾンビどもとは違う反応だったので、モーリが探索に行くことになった。幸い、付近にゾンビや地底人の反応はなかったので、まずはモーリが単独で調査しようと。もちろん何かあったら、すぐにリマが駆けつけることになっている……はずだったのだが。そのリマはこうしてグルの後ろで、ウーレムをボリボリかじっているだけだ。実際生体反応があっても、「そこに誰かがいました」という、残留反応のケースがほとんどではあったのだが。
こうして俺たちが「地球侵略」を目指してやって来てから、どれくらい経つのか……リマはため息を突きながら、地球時間で言えば、ざっと1年くらいかなと、その当時を思い返していた。地球時間に合わせた生活をずっと続けているので、元の時間経過がわからなくなってきている中で。
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