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「幸君大好き! 愛してる」
そう言って瑠奈は俺の肩に小さな頭を寄せてくる。
ふわりと甘い香りが鼻の奥を刺激すると、急激に頭部に向かって血液が集まってくるのがわかる。
「ねえ、幸君は? 瑠奈の事好き?」
「う、うん」
「『うん』じゃなくて、ちゃんと『好き』って言って」
「……えと、ス……スキ、です」
「なんか言わされてる感満載……」
瑠奈は色白の頬を可愛らしくぷっと膨らませてみせる。
瑠奈は感情表現がストレートで、そこが魅力でもあるんだけど、人前でもお構いなしにスキンシップを求めてくるのが気恥ずかしい。
僕が初めて女の子とお付き合いするっていうのもあるんだけど……。
「スキ」とか「アイシテル」なんて、とてもシラフじゃ言えない、っていうかなんというか……。
女の子っていうのは、こんなにも愛情表現が激しいものなのだろうか。
「みんながいるところなら百歩、いや一兆歩譲って仕方ないとしても、二人っきりの時はちゃんと言葉にしてくれないと、浮気しちゃうから」
「えっ、それは困る……」
僕が慌てると、瑠奈は小さな目を細めて楽しそうに笑った。
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