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「好きです。私と付き合ってください!」
瑠奈とのお付き合いはこうして唐突に始まった。
沢山の学生で賑わうランチタイムのカフェテリア。
それぞれの友達がいる目の前で、はにかむ様子もなく大きな声でそう言い放つ彼女に、僕はかけていた黒縁メガネがズリ落ちるほど驚いた。
同じ学部で時折言葉を交わした事があった程度。
特別に彼女に気に入られるようなエピソードがあった記憶もない。
イケメンとは程遠い、ネガネをかけた地味男の僕に興味をもつだなんて、よっぽどの変わり者なんだろう、と思った。
けれど、彼女いない歴イコール実年齢だった僕は、頭の中が真っ白になってしまい、ただとにかく頷いていた。
思い立ったら直ぐに行動にでなければ気が済まない猪突猛進タイプ。
でも、次に何するか行動が全く読めなくて、気がつくと目で追ってしまっている僕がいた。
小さいけれど黒目がちなクルクルと良く動く二つの目も、休むという事を知らないかのようにいつも忙しなく動いているぷっくりとした唇も、見慣れてくると、とても魅力的に感じる。
いつもお団子にまとめられている柔らかそうな髪と、ふわりと広がるワンピースは何だか小さな魔女を思わせた。
最初こそ瑠奈の主導で始まった僕らの関係だったけれど、直ぐに僕は彼女に夢中になっていった。
全てが可愛らしいと思える彼女だったけれど、一つだけ苦手なところがあったんだ……。
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