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ところでダモン閣下はまだお元気ですか?
「まあ、元気といえば元気かな……」
ダモン閣下はご機嫌斜めだった。無数の管で王座に縛られて苦しそうだ。
ピッピッと電子のさえずりがする。見舞いの使者を固辞し
「わしが死んだらこの国はどうなるのだ?」
と臣民たちに訊いた。ざわざわと不明瞭なリアクションが来た。
「電気ウナギの帝王が死ねば、この国は滅びるぞ」
とダモンは言い放った。
「電気ウナギは、他の生物に食べられてしまう。それは自然の摂理だから仕方ない。だが、わしがいなくなっても大丈夫なのか? わしの後釜は誰が務めるのか?」
彼の不安は当然だ。残ったのは電圧も志も低い物ばかり。
「ろくでなしども! 跡目が心配だ」
ダモン閣下はそう言って再び死んだふりをした。「ダモン閣下はご高齢です。どうかご自愛を」
と臣民たちが言った。
ぶしゅるる。吐息とともにダモン閣下は再び生き返った。
「わしが死なないと、この国はいつまでも安心できないだろう」
「では、ダモン閣下にお妾様を手配しましょうか?」
と臣下の一人が言った。「いいよ。もう疲れた」
ダモン閣下は三たび息を引き取った。ダモン閣下は三度蘇った。「わしはもう寿命だ」
「では、ダモン閣下に最期までお仕えします」
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