願いの穴くぐり

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「やっぱり怖いよ。もし受け入れてもらえなかったら……」 「大丈夫だよ、たぶん。私も大丈夫だったんだし」  正直に吐露した想いに対し、軽すぎる返事が来て少しムッとする。それは当事者じゃないから言えることだ。 「仁美と凛音じゃ、状況が違うよ。凛音の場合、私の好意が自分自身に向けられてるんだよ? 気持ち悪いって、思うに決まってる」  自分で言って苦しくなる。ヤバい、また泣きそうだ。慌てて冷たいタオルを目の下に押し当てる。 「確かに状況は違うよ。でもさ、要は慶の気持ちがちゃんと伝わるかどうかだと思うんだ」 「……どういうこと?」 「慶はさ、自分が付き合いたいからじゃなくて、凛音に気持ちを隠したまま仲良くすることが『ズルい』と思ってるから告白するんでしょ?」  仁美の言葉にドキッとした。まさに私の考えていることをそのまま言い当てられたから。
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