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夜。宿の部屋にて。
「ちょっと皆、何もう寝ようとしてんの? やるよ! 恋バナ!」
それは私にとっては死刑宣告にも等しい言葉だった。
「私はちょっと眠たくなっちゃったから、皆で楽しんでて?」
遠慮がちに辞退の意思を示すが「ちょっとだけだから!」と強引に参加を促される。
「まぁまぁ、嫌そうな人を無理に誘うのもアレじゃない?」
仁美がすかさずフォローに入ってくれて、提案した彼女もにわかにトーンダウンする。が、そこで凛音が口を開いた。
「私、慶ちゃんとも旅行の思い出作りたいなぁ。ちょっとだけ、だめ? ほんとに眠かったらすぐに寝ていいから」
こてん、と首を傾げる凛音に私は陥落した。好きな人にそんなことをされて断れるほど私の意志は強くなかったらしい。
かくして修学旅行の定番、女子トークの時間が始まった。
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