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「か、可愛らしい人がいい、かな」
「ほうほう。例えば?」
「えっと、仕草の一つ一つにキュンとしたり。小動物みたいに懐いてきた……り……」
やってしまったと思い皆の顔を見ると、仁美以外の全員がニヤニヤと口の端を釣り上げていた。
「ずいぶんと具体的だね。これはもしや?」
「うん、間違いなくいるね。好きな人」
そこから恋バナ提案者の質問を皮切りに私への集中砲火が始まった。嘘が苦手な私はどんどんと情報を引き出され、追い詰められていく。仁美が露骨にならない程度に庇ってくれているが、焼け石に水といった様相だ。
「なるほどなるほど。それでその人と慶ちゃんは今どんな関係なの?」
「えっと、まぁ、その、普通に話したりは」
「友達ってこと?」
「う、うん」
「キャー、ヤバッ! ねぇ、どんな人なの? 可愛い以外で!」
「どんなって……その、私のことを何でも受け止めてくれて……」
本当に? 私の中のもう一人の私が問いかける。皆の前でこんな話をした後で告白して、本当に凛音は私のことを受け止めてくれるの?
途端に自分に自信が無くなり、なんだか取り返しのつかないことをしてしまったような気になってくる。声が震え、気が付いたら座っている布団の上にポツポツと染みが出来ていた。
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