駐車場

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 ちらついてきた雪が頬にあたり我にかえる。  寒さをしのぐ為とりあえず自分のクルマに乗り込むとエンジンをかけ、ヒーターのスイッチを入れる。  暖気している間にまずは上司に電話を入れるが出ない。 「運転中だよね」  とりあえず切って、何がおきたのか考えてみる。  ──母が職場に来て上司に何かを渡した。何を渡した? その前になぜ上司を知ってる、会わせたことはない、知らないはずだ。── 「……話はしたことあるな。でも顔は知らないはずだけど。それに何を渡したんだろう、封筒だったな、けっこう分厚かった、中身はなんだろう。見た感じ書類っぽかったな、何かのレポートか本かそれとも……おカネ」  そこまで連想して、今の研修に合格をもらえないと大変だと話したことがあるのを思い出した。 「まさか、おカネなの。いやいや母には収入がない。あたしの給料で生活しているし、お小遣いもその都度渡しているから大金になるようなへそくりは出来ないはず」  働いてない母は悠々自適の生活をしている。手先が器用でペーパークラフトなんかはしているが、それが収入につながるような事は無いだろう。 「でも」  封筒の中身がおカネだとすると、何故そんなものを。 「賄賂しか思いつかないけど、他におカネを渡す理由なんて──」  そこまで考えて最悪の事態を想定した。  あたしが偽の娘だとバレたのではないかと──。
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