Jewelry Box

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「そういえば、何でミコは女装してるの?」 「あー、やっぱりあの時、オレの話を聞いてなかったんだね」  あの時というのは、カラオケ店でのことだ。 「姉貴のイタズラで女装してオーディションに参加させられたの! しかも何故か審査員にウケて合格になったし」  ミコもお姉さんには勝てないようだ。 「もう、そんなに笑うなって」  クスクス笑うわたしを見て、ミコが拗ねた。 「それ以上笑うなら……」  伸びて来た手に抱き寄せられ、ミコの腕に収まる。 「へっ?」  さあっと血の気が引いた。  顔を青くしたわたしの頬にミコの唇が触れる。 「ーーっ!」  引いていた熱が一気に戻ってきた。  もう自分の顔が青いのか赤いのかわからない。  ミコを見れば上機嫌で笑っている。  わたしは一生、推しに勝てないのかもしれない。 END
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