Jewelry Box

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「えっと、あの、その……」  見つめられて視線が泳ぐ。  推しの笑顔、心臓に悪い。 「気絶する前のこと、ちゃんと覚えてる?」 「も、もちろん!」  まだ唇にミコの指の感触が残っている。  思い出したら顔に熱が集まってきた。あつい。 「おねーさん」  顔を逸らそうとすれば、顎を掴まれ視線がぶつかる。 「好きだよ」  笑顔で囁かれて頭が沸騰した。  湯気が出ているんじゃないかというくらい顔が熱い。 (えっ、意味わかんない。何。ミコがわたしを好き?) 「ねぇ、おねーさん……」  真っ赤になったわたしを呼ぶ声が甘い。 (これ、ドッキリ? 罰ゲーム?) 「乙姫」 「えっ!?」  答えないわたしの名前を呼ぶミコ。 「ずっと前から知ってたよ?」  そういえば、ミコはわたしが『Jewelry Box』を箱推ししていることを知っていた。 「もしかして……」 「実は、一目惚れでした」  ちろりと舌を出したミコ。 「え、じゃあ、絡まれてたのもヤラセ?」 「違う、違う! あれはマジ」  男とグルだったのかと思ったが違うらしい。  流石にそこまでじゃなかった。うん。
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