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梅茶漬け
「遠藤さん、ちょっと呑み足らへんのとちがいますか?」
『まぁ、呑み足りひんけど、明日も仕事やしね。』
「私は、明日のことあんまり考えんと調子良く日本酒呑んでしまいました。」
『明日大丈夫か?』
「多分大丈夫です。今日遠藤さんと呑めるの、スゴい楽しみにしてて、あんまり気にせずに呑んでしまいました。」
少し喉が渇いたので烏龍茶を飲む。
『へーっ、ボクと呑むの楽しみにしてくれてたんや~。何か嬉しいなぁ…。』
遠藤さんも烏龍茶を飲む。少し考える仕草をして、また烏龍茶を飲んで静かにグラスをテーブルに置いた。
『もし、もしやで?佐藤さんさえよかったら、次は休みの前の日に呑みに行かへん?』
少しボーッとする頭で考える。
「一緒に呑んでて楽しかったし、うん、行きましょう。」
『ホンマ!?ボクも呑んでて楽しかったし、嬉しいなぁ…。んーと、そしたら…』
遠藤さんが何か続きを言うとした時
『お待たせしました~。梅茶漬けお持ちしました~。ごゆっくりどうぞ~。』
店員さんが来て、各々の前に梅茶漬けと温かいお茶を置いて、伝票入れに伝票を入れて奥へ戻って行った。
「わぁ~、おいしそう!大きい梅干しのってる!酸っぱいかなぁ?」
梅干しをつまんで少し噛ってみる。
「おーっ!酸っぱ!」
『えっ?酸っぱいの!?』
「酸っぱい梅干し苦手ですか?」
『いや、嫌いやないけど、出来たら酸っぱいの控えめがいいかなぁ。コンビニのおにぎりの梅味くらい?』
「へぇー、そうなんですね。私は、酸っぱい方が梅干しらしくて好きかなぁ。」
『へぇー。そうなんや。』
「でも、コンビニのおにぎりの梅は、梅でいいんですよ?」
梅茶漬けをずるずると食べる。遠藤さんもずるずると食べて、梅干しを少し噛る。
『むっっちゃ酸っぱい!!あかん!』
器の中で梅干しをお箸で潰してほぐして、全体に混ぜて再度ずるずる梅茶漬けを食べる遠藤さん。
『うん!酸っぱいのましになって、おいしくなった!』
満足げに笑う遠藤さんを見て吹き出した。
『何が可笑しいね~ん。』
「何か満足げに笑ったはったのがかわいかったんです。」
『27歳のおっちゃん捕まえてかわいいて…。』
「おっちゃん…何気に気にしてはったんですね…。ここまで引っ張らはるとは…。」
2人で梅茶漬けを無言でずるずる食べ始めた。
「ハァ~、食べた!おいしかった!」
ご馳走さまと手を合わせた。遠藤さんを見ると既に食べ終えていて、温かいお茶を飲んでいた。
「遠藤さん、梅茶漬け来る直前何か言いかけてはったんて…。」
『あぁ、まぁ…お店出て、駅に向かう時話すわ。』
「分かりました。」
私は、もう少し酔いを醒まそうと温かいお茶を飲んだ。
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