最後のコーヒー

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 元気っぽく「いらっしゃい」と言いつつ、こちらに視線を向けたマスターが、彼女の顔を見て、ん? という顔をした。  チナミも、彼に見覚えがあったので、 「お久しぶり‥‥」  と、とりあえず言ってみた。 「‥‥チーちゃん、だよね?」 「えっ? はい‥‥。よく分かりましたね。だいぶ変わったのに‥‥」  彼女は、私を「チーちゃん」なんて呼ぶ男――誰? と思いながら、歩を進めた。 「そう。でも、なんとかね」  とマスターは笑った。  しかしチナミの方は、まだ記憶をたどっていた。
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