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残念イケメン
「ひーーめーーさーーまーー」
白い光の中から現れる黒い人影が現れ、低音のイケボの声が響いた。
美月はその声に驚いて後ろを振り返えると部屋の真ん中で手を上げてバンザイのポーズをしている人物がいる。
このポーズ見覚えが…。美月は眩しくて細めた目に映る姿を見ながらぼんやり思った。
その人物は神主の様な格好をしていた。
白い狩衣には赤い紐が大雑把なステッチの様に飾られていて落ち着いた紫色の袴を穿いていて頭には黒くて長い烏帽子を被っている。
「おや?姫さま?」
その人物はそのバンザイポーズのまま辺りを見回して、そして美月の方を振り向いた。
振り向く瞬間、美月にはスローモーションの様に感じられた。
さらりとした銀髪の髪、肌は白く透きとおり、睫毛が長く深い二重の大きい瞳、鼻筋が通っている高い鼻、薄い唇はほのかに赤く、完璧とも言える美しさに美月の心臓は一瞬止まった。
イケメンだ!!
そして暫くの間その銀髪イケメンと美月は見つめ合っていた。
先程のシャンプーのフローラルの香りが充満している効果もあるのだろうか。美月にはこのごく普通の部屋の風景がバラで埋め尽くされている様に見えた。
まるで少女漫画のヒロインみたいじゃない!
私の人生でこんな事が起こるなんて!
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