残念イケメン

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イケメンはゆっくりと美月に近づいた。 美月は恥ずかしくて俯いたがイケメンは少し屈み、顔を確認する様に首の角度を美月に合わせた。 こ、この展開は…。 美月は瞼をギュッと閉じ唇をほのかに尖らせた。 イケメンとファーストキス…。 「お…」 イケメンが口を開いたかと思ったら 「おぉ〜まぁ〜えぇ〜はぁあ〜誰だあぁぁーーー!!」 と、イケメンはこめかみに青筋を浮き上がらせ、大量の唾を美月の顔に飛ばして凄まじい剣幕でキレた。 バラの背景はガラガラと音を立てて崩れていき、イケメンの異常なキレ方に驚きすぎて美月は目の前が再び真っ白になった。 「姫様は何処だ!?何処にいるのだ?ひーーめーーさーーまーー!!」 イケメンは口に手を添えて山の頂上に立ちやまびこをする様に六畳の部屋で大声で叫んだ。そしてトイレや風呂場のドアを開け、居ないとクローゼット、冷蔵庫の中とありとあらゆる扉を「姫様ー!」と叫びながら開けていく。 目の前が真っ白の美月にもイケメンの大声は聞こえていた。 姫様って誰?この部屋に住んでるのは由理だよね?え?まさか由理の彼氏? 「あっ、あの…。『姫さま』って由理の事ですか?」 なんとか真っ白い世界から抜け出した美月は一心不乱に探しまくっているイケメンに恐る恐る聞いてみた。 勢いよく振り向き美月を凝視しすると 「ゆ……」 一言囁いたかと思った瞬間。 「ゆーーりーーとーーはーー誰だぁぁぁーーー!!そしてお前は誰だあぁーー!!」 とまた先ほどの様におでこに青筋を立てながらキレ、再び大量の唾を美月の顔面に浴びせた。
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