残念イケメン

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「ひっいぃ〜〜っ!!」 美月は慌てて壁に貼ってある百合の写真を指した。 「こ、こ、この子が、ゆ、由理ですぅ〜」 美月が震える手で指刺した写真は由理の思いきり変顔している写真だった。 イケメンはその写真を一瞥すると、壁から写真をピッと剥がしくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。 「ひーーめーーさーーまーー!!」 再び叫び始めたイケメンを見て美月は『姫さま』は由理ではないと言う事を察した。 由理じゃないなら、誰を探してるんだろう? その時由理のベッド脇に置いてあった水槽からカタカタと動いた。よく見ると亀が暴れている。 もともと亀の餌やりが一番の目的だった筈なのに、美月はそれまで亀の存在をすっかり忘れていたのだ。 「あっ。忘れてた! ごめん、いまご飯をあげるからね」 美月はイケメンの顔を見ない様に手で顔を隠しながら冷蔵庫へと向かった。 イケメンは亀がいる事に気が付くと、袖で口を覆い顔をしかめた。 美月は冷蔵庫からスティック状の人参が入ったビニール袋を取り出した。 それを見たイケメンは目をカッっと見開いた。 「何でカメなんぞに人参を与えるのだ! 勿体ない!」 「えっ? ただの人参ですよ? なんかこの亀は人参しか食べないらしいんですよね」 「亀の癖になんて贅沢なんだ…。亀の癖に…」 イケメンは亀が相当嫌いらしい。 慣れとは怖いもので美月はイケメンの大声にも動じなくなっていた。
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