残念イケメン

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美月が亀の水槽にスティック状の細い人参を入れると亀は一瞬動きを止め、人参の方を向いたが再び暴れ始めた。 「あれ? お腹すいてないのかな? ほれ、餌だぞ?大好物の人参だよ」 美月は亀に人参を近づけてゆらゆら揺らして見せた。 亀はまた動きを止め一瞬人参を見るとまた少し暴れ、また人参を見るという謎の行動を繰り返している。 「食べないの?食べないならしまっちゃうよ?」 亀は美月の言葉が分かったのか、慌てて人参にかぶりついた。 「え?この亀私の言葉がわかるみたい!マジ可愛い」 美月が亀に夢中になる姿を見つめるイケメンの目は血走り肩を震わせている。 「カメなんぞ褒めるな! 食べ終わったら布でも被せておけ! 目が腐るわ!」 その言葉を聞いて、美月は思い切り睨み返した。 「サイテー!あなた一体何なんですか? 亀だって立派に生きているんですよ?頑張って生きているんです! それにさっきからうるさいんですよ!声大き過ぎでしょ?何時だと思ってるんですか?女の子の一人暮らしの部屋に来て騒ぎまくって!何!? 変態? 変質者?警察呼びますよ?」 凄い勢いで捲したてる美月に流石のイケメンもたじろいで言葉に詰まってしまった。 「いや…だって…この部屋は…姫さまの…うぅっ…」 下を向いて黙ったかと思うと急に顔を上げ、血走った目をカッと見開いた。 「翁を呼べーっ!!」 そう叫ぶと袖の袂から携帯電話を取り出し電話をかけた。 美月は意味の分からない発言より、取り出した携帯電話がガラケーなのが気になった。 「おばあちゃんと一緒…」
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