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イケメンのガラケーで呼び出されたのは、60代位のバーコードヘアーの背の低い小太りのおじさんだった。 多分寝ていたのを起こされたのだろう。緑色のチェックの寝巻きのままで明らかに不機嫌だった。 「こんな夜中に何ですか?」 パジャマのズボンに手を入れお尻をかきながらしかめっ面をしている。 「何ですかは私の台詞だ! 翁よ、姫さまは一体何処にいるのだ? そしてこの女は誰だ!」 翁と呼ばれたその男は微かに開いている目で美月を見ると「はじめまして」と頭を下げ、美月も慌てて「お邪魔してます」とお辞儀をした。 「お姫さまは知りませんよ?また自由に何処かへ行かれてるんじゃないですか?」 翁はとてつもなく面倒臭そうに言うと目を擦り大きなあくびをした。 「今回は長過ぎる!いつもは大体3日で帰るのに連絡もよこさずもう3週間だ。変な男に連れて行かれていたらどうするつもりだ!」 イケメンは相変わらず大きなジェスチャーに大きな声で話しててミュージカル俳優の様だ。 「ははっ、あのお姫様が事件に? そりゃあ相手の命の方が心配じゃあないですかぁ〜」 翁は半分目を閉じながら体は大きく左右に揺れていた。半分夢の中に入っている様だ。 そんな翁の姿を見てイケメンの拳が小刻みに震えた。 「おーーきーーなぁーーーーっ!! 貴様は姫さまの翁と言う立場を忘れているのではなかろうな!? お前は翁なのだ! お・き・なっ!忘れるなよ!」 イケメンは翁の胸ぐらを掴み、掴まれた小さな翁の足は床から少し浮いていた。 「はっ、はい〜っ」 半分しか開いてなかった翁の小さい目はまつ毛まで上に向き、めいいっぱい開かれている。 イケメンが手を退けると翁は首元をさすりながら壁におでこをつけて独り言を言い始めた。 「なんなんだよ、翁、翁って!! どんだけ前の話をしてるんだよ! 祖先って言ってもさぁ〜これだけ年数が経っていたら他人より他人だよ! もういい迷惑だよ」 それを美月は聞き逃さなかった。 「翁? 祖先?」
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