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ボンッという音とともに白い煙に包まれ、亀姫は浦島太郎と似たシュチュエーションで亀から元のかぐや姫の姿に変わった。
その姿は美月が思い描いていた『かぐや姫』のイメージとは全然違っていた。
かぐや姫といえば、黒い長い髪に日本的な切れ長の清楚系の女の子を思い描いていたが、髪の毛は茶髪で緩いパーマがかかっているし、カラコンでも入れているような茶色の大きな瞳、バッチリメイクをしているし、服装もミニスカートに肩も胸元もガッツリ出したTシャツを着ている。ただやはりかぐや姫だと思ったのは顔は美月の3分の1位の小さで手足は白く細くてテレビに出ているアイドルグループのセンターにいてもおかしくない容姿だった所だ。
「やった!戻ったー!窮屈だったよー」
かぐや姫は大きく背伸びをし、美月に抱きついた。
「貴方のお陰だわ!ありがとう!」
かぐや姫のあまりの可愛さに美月は緊張して返事も出来ない。
「ちゃんと成仏したのだろうな? 成仏したフリをして、またでてきたりしないだろうな?」
イケメンは両手を広げ身を屈めるとかぐや姫を守るように辺りを見回し警戒していた。その脇には翁が小さなクローゼットの前で座ったまま寝ていた。
翁が寝てしまったのは無理もない、窓の外はもう明るくなっていたのだから。
「さっきの人は成仏したと思うけど、まだ成仏出来ていない人がいるみたいなんだよね?」
かぐや姫の言葉と共にシャワーを浴びていた時に感じたあの焦げ臭さが美月の鼻を刺激した。
「あっ、またこの匂い」
美月が鼻を抑えると、かぐや姫は先程まで落お内裏様が居た小さなキッチンを指差した。
「あの人の匂いみたいよ?」
そこには白いワンピースを着た長い髪の毛の女の人がうつむいて立っていた。
「ギャアァァーーーーーーーッ」
美月はその姿を見るなりビックリし過ぎて絶叫しながら気を失ってしまった。
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