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焦げ臭い女
美月が目を覚ますと窓から西陽が差し込んでいた。
もう夕方か…よく寝たんだなぁ、何だかとてつもなく変な夢を見てしまった。
美月はベットの中でうつらうつらしていたが、寝返りをうつといつもと違う風景に気が付いてベットから飛び起きた。
家じゃない!何処ここ?
美月は眠っていた脳みそをフル回転させた。はっきりと夢の内容を思い出せていたが、何処から夢だったかが分からず空回りしている。
えっと…ここはてそうだ!由理の部屋だ。昨日由理の部屋に泊まったのは現実の事だよね?
頭が徐々にはっきりしていくと大事な事を思い出し、慌てて時計を確認すると午後5時を過ぎていた。
大学に行くのが楽だと思っていたのに、一限目どころか今日の授業は全滅だ。
美月は頭を抱えた。しかしもう時間を戻す事など出来ないし、諦めて何か飲み物でも飲もうと立ちあがろうとした時、テレビの近くにある水槽に亀がいない事に気がついた。
あれ?亀がいない!水槽には砂利と大きめの石に少ない水しか入っていない。脱走したのかと床を見渡しながら夢の出来事を思い出していた。ハッキリと覚えている夢にも亀が出てきた。夢の中で亀は…亀は…。
ガチャッという音がなると玄関のドアが開いた。
「あーっ、起きてる!良かった。急に倒れちゃったからびっくりしたよ!」
甲高い声は勿論由理ではない。眩いくらいの美少女とイケメンだった。イケメンの服装はTシャツにチノパンに着替えられていたが間違いなく夢に出てきた人物だ。
あれ?まだ夢?いや、夢だと思っていたのが現実だったって事?
美月は目をぎゅっと瞑った。夢であって欲しい、もう一度寝て目が覚めたら自分の部屋であって欲しい。
今迄で一番強く神様にお願いをしたが、その願いは神様まで届かなかった様だ。
目を開けても眩いふたりが目の前にちゃんといる。美月は日頃の行いが悪かったと猛烈に反省した。
「お腹空いたでしょ? そこのコンビニで適当に買ってきたから好きなの食べていいよん」
美少女は部屋の真ん中の小さなテーブルに買ってきたパンやおにぎりやジュースを並べた。
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