焦げ臭い女

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イケメンは仏頂面で座ると明太子のお握りを手にとり、海苔がちぎれない様に丁寧にゆっくりとフィルムを剥がしていった。 「あの…確認なんですが、貴方のお名前は…あの…えっと…」 もじもじと言いづらそうにしている美月を美少女は面白そうに「うん、うん」と頷きながら見つめている。 「かぐや姫だろうが!このバカ女が!姫様に食い物まで買わせに行かせやがって!」 美少女の隣にいたイケメンが綺麗にフィルムを剥がした明太子のおにぎりにかぶりつきながら美月を睨みつけた。 あれは夢ではなかったのか…。 あの疲れた悪夢は現実だったのかと思うと美月の気持ちは日本の裏側のブラジルまで届くほどテンションがズドーンと下がった。 「月影!貴方本当に口が悪いよ!今の時代はジェントルじゃないとダメ。草食男子、イクメン、男には常に優しさが求められるのよ」 かぐや姫はほっぺたを膨らませながらイケメンを注意した。その姿は女の美月でさえも溶ろけてしまいそうなほど可愛い。 「すいません…でも、男女平等と言われていますし…」 イケメンが柄でもなくしょんぼりとした。 「バカ!月影!本当にバカ!男は女に優しく、男は常に女を許す。それがあっての男女平等なの!」 「えぇ!?それでは男が損なのでは?」 イケメンが腑に落ちない表情しながら言い返した。 「女が損をしなければいいのよ!ただでさえ地球は男社会なのよ?女を立てて、大切にして初めて男女平等になるの!もう!私がそう言ってるんだからそうなの!月影いい加減理解しなさい」 怒った顔も可愛いかぐや姫としょんぼりしたイケメンの表情に萌えそうになった美月だったが、美月には男女平等より気になる事があった。 「あの、お名前月影さんとおっしゃるんですか?」 美月が問いかけるとイケメンは明太子を口にほう張りながら肩をピクリと動かし、美月に背を向けて、 「そうですが、何か?」 とトゲを感じさせる言い方で返答した。 「いえ…ちょっと気になったものですから…すいません」 美月はまたもや暗い気持ちになっていった。 「ねぇ、貴方も何か食べなよ。 でも食べ過ぎないでね。今日は翁さんのお家でご飯食べながら作戦会議するからね」 かぐや姫はウインクしながらチョココロネの袋を開けた。 「え、作戦会議って何のですか?」 喉がカラカラだった美月は軽く会釈をしながらスポーツドリンクのペットボトルを手に取り口に運んだ。 「うふふ、あ・の・子」 かぐや姫が指差した先にはあの白いワンピースの女が立っていた。
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