焦げ臭い女

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美月は口に含んだスポーツドリンクを勢いよく吹き出した。 それはもろにイケメンの顔を直撃し、イケメンは慌てて両手で顔を拭った。 「キャアァァァァー!地球人の菌が顔に!! 汚い!ヒャー!ヒャー!」 と、まるで女の子がゴキブリに遭遇した時の様な悲鳴をあげながらイケメンは洗面所へと走っていった。 白いワンピースの女の姿を確認した途端、部屋中に焦げ臭さが充満していく。 「彼女すごい困っているのよ」 かぐや姫はチョココロネを食べながら「こっちおいで」とワンピースの女を手招きした。 美月は座りながら後ずさりをした。 落お内裏様も怖かったが、比べ物にならない程怖くて仕方がない。美月の心臓は破裂しそうな程激しく動き、頭から血の気は引いていき、暑い訳ではないのに体中から汗が吹き出しだした。 「あっ、あの…怖がらせてしまってますよね? この髪のせいですかね?」 白いワンピースの女は申し訳無さそうに血の気のない真っ白な手で顔を隠していた長い髪をかき分けた。 長い髪の間から出てきた顔は幸薄そうだが優しそうで小動物みたいに愛くるしい顔をしていて、美月の中にある怖さは半減した。 「あぁ、髪で隠さない方がいいですね」 美月がそう言うと、ワンピースの女は少し嬉しそうに微笑んだ。笑うと小動物感が増してもっと可愛く見える。 「ところで、この焦げ臭い匂いはなんだろう?」 美月は落ち着きを取り戻しまたスポーツドリンクを飲み始めた。 「あぁ、すいません臭いですよね…私のせいなんです…」 そう言ってワンピースの女は背中を見せた。その背中はワンピースは焼け落ち、剥き出しになった肌は黒く焦げ、その中心は赤い肉が出ているだけでなく骨まで見える位えぐれて血までにじみ出ていた。 美月はあまりにグロテスクな背中を見て再びスポーツドリンクを吹き出した。 そしてそれはまた顔を洗って来たばかりのイケメンの顔面を直撃したのだった。 イケメンの悲鳴と美月の雄叫びの様な悲鳴が同時にあがったが、かぐや姫はこうなる事を予想していた様に、すでに涼しい顔で耳を指で塞いでいた。
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