焦げ臭い女

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「これ、見た目より痛くないんですよ?」 ワンピース女は背中の火傷あたりを指差しながら肩をすくめて笑った。 「い、痛くないんですか…。それは良かった…ですけど、そのグロテスクな傷は隠せないんですか?」 ワンピース女のその傷は痛々しいを通り越して吐き気がしてしまう程悲惨な状態で美月は手で口を抑えてた。 「幽霊になってしまってるみたいなので何かを羽織る事が出来ないんです…死んだ時の状態のままでしか居られないみたいで、出来るだけ後ろを見せないようにしますから…」 ワンピース女は申し訳なさそうな表情を浮かべて壁側に立った。 「『幽霊になってしまってるみたい』ってもしかしたら幽霊じゃないかもしれないって事ですか?」 美月の問いかけにワンピース女の子は言いづらそうに目を泳がせて、顔を掻いた。 「私、実は…記憶喪失なんです」 「えっ! 記憶喪失?幽霊に記憶喪失なんてあるんですか?」 「はい…どうやら稀なケースみたいなんですけど、中にはいるそうなんです」 そう言うとワンピース女は涙を浮かべた。 「みたい?みたいって誰かにそう言われたんですか?」 「はい…幽霊仲間に…」 幽霊仲間という存在に美月は少し驚いた。まぁ、元は生きていた人間だったのだし幽霊になっても情報交換をするネットワークがあってもおかしくはないのかもしれない。 「 どうやら、自分のことが分からない状態だと、浮遊霊としてずっと成仏出来ないそうなんです。私こんな姿のままずっと幽霊でこんな風でいるの嫌なんです…絶対に嫌!」 ワンピース女は声をあげながら泣き出した。
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