作戦会議

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作戦会議

ワンピース女についての作戦会議はリバーサイドメゾンの隣りにある2階建ての翁の家で行われた。 先程のイケメンの携帯は翁から準備ができたとの連絡だったのだ。 翁の家の居間に行くと12畳程の部屋に立派な彫りが施された座卓と折り畳みの座卓が繋げて置かれてあり。その上にはお寿司や、天ぷらや、煮物などのご馳走が用意されていた。小さな頃田舎のお婆ちゃんの家に親戚一同が集まった時の風景を思い出させたが、あの様な和やかな空気ではなかった。 何故なら、翁の奥さんが明らかに不機嫌だったからだ。美月の並びにはにはかぐや姫、イケメン、そして申し訳無さそうなワンピース女が座っているのだが、翁の奥さんはその後ろを通る度に「はぁ〜あ」「はぁ〜あ」と大きな溜息を吐くのだ。 そして反対側には翁と翁の奥さんともう1人知らないおじさんが座っていた。 「あっ、私の大好きなウメシュワを準備してくれてるじゃん!サンキュー。ささっ、皆んなかんぱ〜い」 かぐや姫は準備してくれた翁夫妻にお礼を言う訳でもなく勝手に飲み始めてしまった。 身勝手な行動をするかぐや姫の隣りにいる美月は翁の奥さんが気になって仕方ない。張り付いた笑顔は交通安全の授業で来た腹話術の人形によく似ている。 「すっ、すみません私までお邪魔してしまって…。美味しそうなご馳走まで用意してくださって」 美月の言葉で一瞬奥さんの表情に人間味が帯びたが、かぐや姫がまたもやその瞬間を遮断した。 「気にしなくていいよ!美月は私の恩人なんだから、食べて食べて!(おうな)は天ぷらだけは美味しいのよ。煮物はちょっと甘いんだけどね」 かぐや姫がいもの天ぷらを頬ばると、奥さんはまた腹話術の顔に戻ってしまった。 「うっ、うん。そうそう遠慮せず食べて。今日は僕の友達を連れて来たんだよ、幼馴染の取谷 達夫(とりたに たつお)くん」 翁は奥さんの表情を気にしながら隣りに座っているおじさんを紹介した。 「どうも、取谷達夫と言います。宜しく」 明らかに取谷の自己紹介はかぐや姫だけに向けられたものだった。
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