作戦会議

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「何故勝手に部外者を呼んだのだ!」 イケメンが急に大声に美月はジュースを気管に詰まらせてしまった。正常な呼吸もできない程むせる美月に箱ティシュを渡しながら翁は取谷の肩を組んだ。 「いやいや、たっちゃんはね普通の地球人じゃないんだよ。特殊能力があるんだなぁ〜見えない物が見えちゃうんだよ」 自慢気に話す翁を見ながらイケメンはフンッと鼻で笑った。 「特殊能力?地球人の力など、たかが知れてるわ」 イケメンの態度を見て顔を真っ赤にさせた翁は座卓を勢いよく叩いた。 「彼はね霊も出来るし、除霊が出来るんだよ!クラブ花代のママに憑いていたトイプードルの霊と、角のコンビニのバイトの女の子の買っていたハムスターの霊をちゃんと除霊したんだから!」 「ほぅ、犬とハムスターの除霊ねぇ?じゃあ早速それを見せてもらおうか」 イケメンが意地悪な笑みを浮かべ取谷を見た。 「えーっと、どなたを見ればいいんだろう?」 取谷が苦笑いしながらビールを口に含んだ時、真っ赤だった翁の顔は青白く変色し、手にしたていたグラスの中のビールが小刻みに波打った。 「たっちゃん?み、見えないの?ま、まさか僕を騙していたの?」 油を差してないサドルを動かす様にギギッと鈍い動きで首を取谷に向けた。 「いやいや、ここには幽霊はいないって」 取谷は自信満々で言いきると躊躇なく大トロを手にした。 「でも、あそこにちゃんといるんですよ?」 美月はイケメンの隣に座っているワンピース女を指さした。 美月はこの取谷は当てにならないと思った。 トイプードルとハムスターの除霊ってギャグマンガでもあるまいし…。その時自分の守護霊はリボンを付けた只のうさぎと言われた事を思い出した。 「じゃあ、私の守護霊だったら見えますか?」 「守護霊?あぁ、あんたの後ろにいるうさぎのことかい?」 今度は美月が青白くなった。 自分の守護霊がうさぎに確定した取谷の自信たっぷりの物言いが偽物だと感じなかったからだ。 ガチで守護霊がうさぎだったのか…。という事は私は月人!? 美月は取谷が図々しく2つ目の大トロを取ろうとした手を払い除けその大トロを横取りすると、ひと口で口に入れると受けたショックを大トロの美味さで誤魔化して胃袋へと流し込んだ。
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