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「それってどう言う事かしら…」
かぐや姫はまたもや芋の天ぷらにかじりつきながらワンピース女を見つめている。
「どう言う事って何がだい?」
取谷は睨みつける美月を無視してかぐや姫の方に体を向けると一番のキメ顔を見せた。
そんな取谷を今度はかぐや姫が無視しながらワンピース女の方へ近寄っていくと後ろ姿をまじまじと眺め、唇を人差し指で押さえて首を傾げた。
「あなたのこの酷い怪我を見た時、死んでるって思いこんでいたけど、もしかしてあなた生きてるんじゃないかしら?」
「えーーーーーっ!!」
かぐや姫の言葉に美月と翁は同時に声をあげた。
「だっ、だって、このおじさんは見えてないじゃないですか!!」
美月は取谷を指さすと、翁はその通りと言わんばかりに何度もうなずいた。
「失礼だな、おい!俺は死んでるモノはちゃんと見えてんだよ!!そのかわい子ちゃんが言ってるのは霊じゃなくて妖怪とかの類じゃねぇの」
取谷は最後の大トロを口に入れた。
「生き霊」
今迄黙っていた嫗が口を開いた。
「私、一度生霊に取り憑かれた事があります。豊作さんのストーカーに嫉妬されて、それはそれは大変で、亀の子神社の神主さんにお祓いをして頂いたんです」
取谷は手をポンと叩くと嫗を指差した。
「そうだ!そんな事があった!そん時も俺は見えなかったんだよな。亀の子神社の神主は確かに強い霊能力を持っていたけど代変わりしちゃって、今は息子が神主なんだよ。まだ若いけど大丈夫かなぁ?」
かぐや姫とイケメンは眉間に皺を寄せて顔を引きつらせている。
「亀の子神社?名前からして信頼できん」
残念イケメンは首を振った。
「痒い!もうその言葉を聞くだけで身体が痒くなるぅ〜」
とかぐや姫は細い二の腕を掻き始めた。
美月はと言うと翁を見つめていた。
「あの…今、ストーカーって…翁さんのストーカー?翁さんがストーカーじゃなくて?」
バーコード頭で小太り、しかも美月をイラつかせるこのおじさんにストーカーする女がいるとは到底思えなかった。
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