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美月はタオル一枚身体に巻きつけたままの格好で六畳の部屋を大きく占領しているベットに腰掛けると貧乏ゆすりをしながら頭を抱えた。
帰ろうかな…。
でも既に夜の11時を超えてしまっている。今から着替えて駅に向かったても終電に間に合うかどうか微妙な所。明日は大学の一限目の講義もある。この家から大学から3駅しか離れていないし…。そもそも約束を破ったらお土産のグッズをもらえないかもしれない。
仕方ない……。
目を瞑り深く深呼吸をして、力強く目を開いた。
幽霊と戦うしかない!
そう決心して勢いよくベッドから立ち上がると部屋中を見渡して叫んだ。
「かかってこいやぁ〜!」
幽霊にナメられてはいけないと思ったからだ。「シュッ、シュッ」と口で音を出しながらヘッピリ腰でシャドーボクシングの真似をし、部屋の隅を睨み付けながら美月は大きなくしゃみをした。
「さぶっ」
ブルッと身震いすると、二の腕をさすりながら、いそいそと部屋着に着替えると、一つしかないコンロに置いてあった赤い小さなヤカンでお湯を沸かした。
コンロの火をつけ、青い火を眺めながら由理の事を思い出していた。
この部屋何かおかしい。
由理はこの部屋について何かおかしな事を言ってたっけ?
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