由理の部屋

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由理の部屋は大学から近い立地にある為、周りの友達は由理の部屋たまり場にしたがっていたし、何回か泊めて欲しいとお願いしている子を見かけた事があったが由理はいつも苦笑いしながら断っている様だった。 そんな様子を見ながら由理はあまり部屋に人を入れたくないのかもしれないと、ぼんやり感じていた。 結構仲が良い美月でも由理の部屋には3回しか行った事がなかった。 1回目は、由理が大学で具合が悪くなり家まで送ってあげた時。 2回目はその後具合が悪い由理に頼まれて薬やスポーツドリンクなどを買っていった時だ。その時、美月はこの小さなキッチンでうどんを煮て食べさせた事があった。 3回目はついこの間、亀の世話の説明を聞きに行った時だった。 その時は説明は直ぐに終わり一緒に大好きなk-popのライブDVD を一緒に鑑賞してピザを取って一緒に食べたのだ。そして夜10時過ぎに帰った。考えてみれば泊まった事は一度もなかった。 そのくせ、美月の家にはよく泊まりに来ていた。 大学から通学1時間もかかるし特に用事もないのに月に一回は泊まりに来ているのだ。 そんな事を考えている間に小さなヤカンの中のお湯は沸騰し注ぎ口から勢い良くお湯が吹き出し、美月は慌てて火を止めた。 適当なマグカップを見つけてお湯だけを注いだ。 あれだけ高級シャンプーを使いまくった癖に友達のストックしてある飲み物に手をつけるのは少し図々しい気がしたからだ。
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