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ダイニングに戻ると、
「お兄ちゃん。百井レンジとも知り合いなの」
と奏美が言う。
「ん…ああ、レンジさん…。友達が働いている店に来るんだよ…。だから昨日は一緒にやっただけ…」
私は説明しながら箸を取り、手を合わせた。
「もう、芸能人じゃん…」
奏美は御節料理の海老を手に取り、皮を剥き始める。
元々、芸能人なんですけど…。
私の前にお雑煮が置かれる。
顔を上げると母の顔は少し怒っている様にも見えた。
「何か、凄いね…。お兄ちゃんが何処か遠くに行っちゃった気分だよ…」
奏美は手を拭きながら言った。
「そんな事無いよ…。こんな話題って直ぐに消えちゃうからさ…。今だけだよ、今だけ」
私は母の作ったお雑煮を食べながら答えた。
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