シキヨクの蔓延る家

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 彼女に告白をやんわり避けられた気もするが無理もない。その後、彼女の名前を知り、生前母を失ってから父と暮らしていたが女遊びがひどく、また酒癖が悪く、酔う度に暴力を奮う父により身体中に痣が出来たこともあったらしい。彼女の名前は音コユミというそうだ。最後の記憶は割れた一升瓶で頭を叩かれたところで記憶が途絶え、気づいたらこの白亜荘に雁字搦めになっていたらしい。  そして、霊体と化しても父とのトラウマが無限に繰り返されていた中、助けを求めた中で僕が現れ、お札で父親だった大男を滅したというのだがそこの記憶が僕の中にはまるで残っていなかった。そして、ここがパラレルワールドであるという衝撃の事実も告げられた。現世の白亜荘とは別のもう一つの世界……そこに迷い込んでいるという超常理論を伝えられ、早く出ないと二度と元の世界には戻れないということも告げられました。  でも僕の結論はそれを聞いても変わることがなかった。彼女に魅了され、その美しさは僕の心に華やかな色を添えた。抗えないシキヨクに囚われ不帰の身になる事を決めた。  彼女が開いてくれた元の世界へのゲートを閉じ、僕はで暮らしている。元の世界ではまた、行方不明者が出たと騒ぎになっているかもしれないが構わない。  僕は今日も帰る。
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