ネコちゃんだあれ？

「んっ……はぁ、ちょっと、あ」

　あれ……どうしてこんなことになってるんだっけ？
　確か、せっかくだからこのまま夕飯でも、って思ってお誘いしたら、彼の部屋にお呼ばれすることになって、それで……？　あ、ダメだ、思考が追いつかない。

「こっち見て」
「んんっ……」

　一見華奢に思える彼の身体からは想像できないほどの力でがっちりと引き寄せられて、くちゅりと音をたてて舌を絡ませ口の中を弄られる。少し苦しそうに力の籠った綺麗な顔がすぐそこに近づいてくるのが現実感がなさ過ぎて、なんだか映画でも観ているみたいだ。

「ずっと……こうしたくて……はぁ、川村さんから誘ってくれたの嬉しい」
「ん、な……おれ、そういう意味じゃ、んっ」

　そうだよ、おれは、ただ純粋に……って、え？　ずっと、こうしたく……？　えぇっ？

「俺はずっと、そういう意味で……ずっと好きで……わかってたでしょ？」
「あ…………」

　まじか……。そうやって言われてしまえば確かにあれもこれも、そりゃあ、相手がおれじゃなけりゃあ絶対にそうだって思うよなぁ。でも待って、いやいや、おれだよ……？

「ね……やっぱり、ダメ？　俺のこと、っ、嫌い……？」
「嫌いじゃない！　……あ、うん。ダメじゃ、ない……けど」
「けど？」

　いやいやダメだろうって頭ではわかっているのに、おれ、何言ってんだ。ああもう、なんでそんな泣きそうな顔するんだよ。

「お、おれ……男だし、だいぶおっさんだよ？」
「男なのもわかってる、俺がだいぶ年下なのは悔しいけど」
「う……」
「それで？」
「うぅ……それに……おれ、こんなの初めてだし」
「嬉しい」
「えぇ……」
「あと、何かありますか？　それだけですか？」

　はぁ……なんだよそれ。おれなんかにこんなに必死になるとか、可愛い過ぎるだろ。あと何かあるかって？　そんなの……

「もう、ないよ。ないけどさ……、鈴木くんみたいないい子……ほんとに、おれでいいの？」
「あなたがいい、好き」
「あっ」

　堰を切ったように再開された口付けに応えるように手を伸ばしてをみれば、がっちりと腰を引き寄せられる。ふわふわして、気持ちよくて、バクバクしているのはどちらの心臓なのかもわからないほど密着して……あ、その、彼のアレがすごく存在感を増しているのが伝わってくるのも不思議と愛おしい。