ネコちゃんだあれ?

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 あ……おれ、もしかして途中で寝てた? いや、まさか全部夢? ではないみたいだな。  ほとんどされるがままになっていたおれなんかと違ってあんなに激しく腰を振っていられるなんて、若さってすごい。だけどそれがめちゃくちゃ愛されてるなって思えたし、うん、すごく……気持ち、よかった。 「いきなり、無理させてごめんなさい。本当に俺が抱いてるって思うと嬉しくて」 「ううん、優しくしてくれたよね。気持ちよかった」 「っ……ほんとに?」 「うん、すごく嬉しくて……好きに、なっちゃった……」  そう、そうやっておれなんかの顔見て一喜一憂なんてしなくていいのに、本当に可愛いくておれなんかにはもったいない。 「嬉しい……俺も、大好き」 「あっ、それにしてもすごい準備が良かったよね……っていうか、すごい慣れてるよね」 「えっ」 「あー、やっぱり、おれなんかが本気になっちゃ」 「な、慣れてない! あっ、その、これは……つまり」 「ん?」 「あぁもう、だから! 俺みたいな健全な若者が、好きな人のことを考えてナニするか、ぐらいわかるでしょ? 恋する男の性に対する好奇心、ナメないで下さいね」 「え」  最後は開き直ったようにニヤリと笑う彼の表情にちょっとだけ本能的な危機感を感じたけれど。だけど、それはおれのためにってことだよな? なんて思えばそれも愛おしい。なんて、うっかりキュンとしてしまったばっかりに……今晩帰れないのはまあいいとして、だからって翌日の夕方までベッドから出られなくなるほど激しく愛されることになるなんて嘘だろう?  なのに、そんなことが満更でもないおれもどうかしてるよな。  そんなことがあってからもそれからも日常は変わらず続くわけで、猫カフェで出会うのはまたいつもの穏やかそうな青年で。ときどきおれがネコちゃんを抱っこしてると物欲しそうな視線を感じるのはちょっと居た堪れないけれど。  そして、おれと二人きりのときだけあんなにカッコよくて優しくて可愛くて……めちゃくちゃ激しく愛をぶつけてくれる男の子。きみのほうこそ、ネコちゃんみたいだよ。  そんなきみに一度心を撃ち抜かれたら、会うたびもっともっと好きにならずにいられないんだにゃあ、なんて、調子に乗って甘えてみたら――大変なことになったのは、また別の話。
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